TetsuakiBaba

reports/22700126

科研費成果報告

身体接触及び冷温感触覚インタフェースを応用したインタラクションシステムの開発

研究課題番号:22700126
研究代表者:馬場哲晃

本ページは2010〜2012年度までの3年間にわたって行われた「身体接触及び冷温感触覚インタフェースを応用したインタラクションシステムの開発」 の報告書/報告補助資料となります.なお下記で紹介する各プロジェクトにつきまして,別途ウェブページが用意されている場合があります.先立って 下記にリンクを記載いたします.

  1. Freqtric Drums
  2. PocoPoco
  3. Gocen


平成22年度

図1. 商品化した「フレクトリックドラムス全音モデル」
動画1. 保育園での利用時の様子((C)全音楽譜出版社)

22年度では具体的に次の3点について研究計画を立て、実施をした。

  1. 電子玩具への応用
    この目的は初年度においてほぼ達成することができた、研究成果物を、教育メーカと連携し、一般販売することに成功した(図1参照)。ここでは通電型の身体接触検知手法を電子玩具へ応用し、商品化したが、同時に他の手法における身体接触検知手法も実験しており、一部の成果を学会発表した他, 高齢者施設や幼稚園等において実際に利用された(動画1参照).
  2. 人体通信方式を利用したセンサモジュールの開発
    実際の実験、実装をおこない、プロトタイプを制作した。デバイス間において簡単な双方向通信(人体通信方式にて)を実現したが、本研究で目的とする人同士のふれあい検知という面において、センサの正確性が保証されておらず、改善が求められる。
  3. 冷温感ビデオゲームシステムの評価実験
    実際に被験者実験を行い、論文としてまとめた。ユーザの温冷感覚呈示における反応速度やその知見についてまとめたもので、ビデオゲームインタラクションに必要な応答速度や温度変化量に着目して、まとめた内容である。本研究では様々な目的に応じた温冷呈示手法を示した。この内容は本年論文投稿予定。

以上の他、他の触覚提示手法やインタラクションに関して研究を実施した。特に動的アフォーダンスに着目した触覚研究に関する成果は今年度のSIGGRAPH Emerging Technologyに採択され、本研究の広がりが今後期待できる。

平成23年度

動画2. サーモゲームの動作中の様子
動画3. 身体接触がもつ動的アフォーダンスに着目した実験作「PocoPoco」
動画4. 絵本玩具にて展開したフレクトリックドラムス(C)全音楽譜出版社

これまでの研究知見を応用し,これらインタフェースを様々なインタラクションシステムに応用する方法と知見を明らかにし,システム実装することを本研究の目的とする.当該年度実施計画において,「新規センサモジュールによる従来システムの改良と,新規インタラクション開発」と「対外評価を得ること」の2つを主な目標に掲げた.温冷覚については2件の論文誌としてまとめることができた[1][2].内一件はビデオゲームに温冷覚を利用する際の,ユーザの反応速度についてまとめた内容で,論文誌だけでなく,情報処理学会山下記念研究賞が授与された.実際に制作したシステムについては動画2を参照されたい.身体接触インタフェースについては,当該年度において2件の商品化を実現した.当初の目的としていた電子絵本システムに身体接触インタフェースを利用した成果を商品化した(動画4参照)他,もう一方は生産数40万に及び社会的波及の大きな製品となった.これにより,全国にてCMが流れる等,一般社会に対して広く当該研究分野を周知すると共に,社会還元することができた.これら過程で得られた新たな知見を元に「触覚電子楽器」を実践し(動画3参照),その成果を1件の論文誌にまとめた[3]その成果は ACM Siggraph Emerging Technologies部門に採択や国際コンペティション(ADAAインタラクティブ部門優秀賞)で評価を受けた.

発表論文誌
[1]土井幸輝,西村崇宏,瀬尾明彦,串山久美子,馬場哲晃 ヒト手掌部における温度感覚特性及び識別特性の評価 日本感性工学会論文誌,Vol.11, No.3, 2012, 掲載決定
[2]馬場哲晃,笠松慶子,土井幸輝,串山久美子,温冷呈示を利用したビデオゲームインタラク ションにおける手法の検討と開発,情報処理学会論文誌,一般社団法人情報処理学会,Vol.53, No.3, pp1082-1091,
[3]金井隆晴,菊川裕也,鈴木龍彦,馬場哲晃,串山久美子,PocoPoco: 実物体の動きを利用した楽器演奏インタフェース,情報処理学会論文誌,一般社団法人情報処理学会,Vol.53, No.3, pp1050-1060, 2012

平成24年度

動画5. 簡易な手書き譜面を演奏可能にするGocen
動画6. Gocenのライブラリを利用したアート作品「Gocen Disc」

最終年度となる24年度では,主として「研究成果の対外アピール」と「教育玩具としての電子楽器システムのあり方をまとめる」の二 点について実施した.対外アピールにおいて,ウェブや小冊子での成果のまとめや,国内外の科学館や美術館での展示,比較的生産量 の大きな商品化(40万ロット)を行った(平成23年度からの継続案件).結果として様々なメーカから本手法による新商品が発売され,市場開拓へとつなげることが できた.教育玩具としての電子楽器システムについては,さらなる開発をおこなうことで,国内論文誌で1件[1],国際論文誌で1件[1] の論文が採択された.昨年度同様にACM SIGGRAPH Emerging Technologies部門にも採択され,海外においても広く研究成果を広めるこ とができた.制作物については動画5,6を参照されたい.

冷温呈示手法に関して,今年度はさらなる発展を試みた.これまでの冷温呈示手法では困難であった即時呈示をペルチェ素子とソレノイド機構の 組み合わせによって実現できた.これまで冷温呈示には2秒程度のユーザ反応時間が必要であったが,本手法を用いることで200〜300ms程度で 呈示可能となった.ただし今年度ではシステム開発に注力したため,ユーザ反応時間に関して詳細な実験が実施できなかった.

発表論文誌
[1] 馬場哲晃,菊川裕也,串山久美子,青木允,簡易な手書き譜面を利用した演奏システム Gocen の設計,情報処理学会論文誌,一 般社団法人情報処理学会,Vol.54, No.4, pp.1327--1337, 2013-4
[2] Yuya Kikukawa, Toshiki Yoshiike, Tatsuhiko Suzuki, Takaharu Kanai, Tetsuaki Baba, Kumiko Kushiyama:A design process of musical interface “PocoPoco”:An interactive artwork case study, Art paper journal of Asia Digital Art and Design A ssociation, ADADA, Vol.17, No.1, 2013